2. 産業立地
2つ目の柱が「産業立地」です。産業立地とは何か? 伊那市では、次のように定義しています。
①産業立地=産業を地に根付かせること
②産業=工業のみならず、農林業、商業、観光含む産業全般のこと
一般に産業というと「工業」を指すことが多いですが、伊那市では農林業や観光業も立地対象としているところが特徴です。
この産業立地に取り組む背景には、先に示した人口減少と、それに伴う税収の減少があります。これをなんとか食い止めるためにも、育成した人材の働く機会の確保、雇用の創出が必要不可欠です。そして、持続可能な社会の形成に繋がるような形で企業の皆さまに伊那市を選んでいただきたい、そんな願いが込められています。
近年、自然災害や大火災などの緊急事態に備え、企業が地方に進出する動きが増えてきています。伊那市は日本列島の中心的位置にあり、関東圏、中京圏、新潟方面、そして三遠南信自動車道の開通で静岡方面にも流通に優れた場所です。BCP(事業継続計画)やリスク分散の点においても多くの利点を備えています。
そうした点をPRしつつ、伊那市商工観光部では、平成16年に産業立地の専門部署を立ち上げ、企業誘致に力を入れてきました。現状、市内に12箇所の工業団地(産業適地含む)がありますが、平成16年以降新たに契約成立した面積は40ヘクタール、整備区画数は42区画(内企業提供35区画)となっています。その成果として、雇用の創出はもちろん、企業の投資金額は266億円にのぼり、税収増と地域の活性化に繋がっています。各企業の製品出荷額も伸びており、さまざまな産業がここで息づいていると感じています。
中でも、企業の農業参入と、食品加工・六次産業化への動きは著しく、さまざまな食品企業が新たなビジネスの創出に取り掛かっています。伊那の気候風土とアルプスがもたらす潤沢な水とおいしい農産物を活かし、それをさらに付加価値のある製品開発へと進めていただいています。さらに、中山間地域の遊休農地や荒廃農地の解消にも繋がるなど、持続可能な社会に向けて一歩一歩共に歩みを進めているところです。